2012年5月7日月曜日

バレエの「条件」: Cat-nip Garden


なんだか途切れなく忙しい感じで、なかなか更新できないのですが、きのうはママクラスのレッスンにも行って、きょうはけっこう歩いたし、腹筋・ストレッチも今のところちゃんとやってるので運動不足も少しはいいです。やっぱりあの「チラシ」を貼ったのがよかったかな?

今月初め、ママバレエのT先生が、ほかの教室でもっている生徒さんのコンクールがあるので、2回ほどレッスンがお休みになりました。(それも運動不足になったきっかけの一つ?)特別レッスンもそうですが、コンクールではずっとつきそっていたそうで、先生も大変です。何でも小学校高学年~中学生ぐらいが一番出場者が多く、激戦なのだそうです。逆に高校生ぐらいになると、留学しちゃう子もいたり、やめてしまう子もけっこういるから人数的には少ないのだとか。それにしても初日で500人以上が申し込み、すぐに締め切りになったとか、コンクールってすごい世界ですね。

それで、結果は?と聞くと、まあ参加することに意義があったという感じだったようです。とにかくすごい子は小学生でもう完璧。毎日バリバリに練習してるような子(週7回というやつです)ばっかりで、特に地方の子はすごいのだとか。そういえばいつだったかTV「学校に行こう」に出た子なんて、小学生のときにひざの靭帯を切って手術をしたって言ってたけど、小学生で靭帯切るようなすごい練習してたの??と驚いたものです。


大恐慌の生存者の物語

どのコンクールの話だったんだろうかと思い、いろいろ検索していたら、何とコンクール上位者の動画が見られるサイトもあるんですね。でも、そんなのをひとつふたつ見るともうびっくりです。これが中学生なの?というほどみんなすごい。体型も身体能力もシルビー・ギエム(もう、少し古いかな)というより、ザハロワみたいな子ばっかり!トゥシューズで立って足が頭まで上がるなんてもう当たり前。手足も細く長いし、こういう体型でないともはやバレエなんてできないのだろうかと思うくらい。体型にコンプレックスを抱かなくていいような、上野水香タイプの子が今はいっぱいいるんですね。

うちの子はバレエが大好きで、お稽古はずっと続いていますが、バレエやりたいと言い始めた5歳の頃、「あんたには向いてないよ」なんて言ってしまったので、(子供にそんなこと言ってはいけなかったかも。でも、どう見てもずんぐりむっくりの体型だったので。)週4回レッスンに行ってる今も、コンクールなんて絶対目指さないし、もちろんバレリーナになれるはずがないと思っているから、もっぱら楽しむのが専門で、先生からも「もうちょっと欲があるといいんだけど」といわれています。

バレエって、やっぱり踊りたい人が踊るという世界じゃなく、ある程度いろんな面で恵まれていないとできないものなんだなあとつくづく感じます。そりゃ私のやってる大人バレエなんかは誰でもできるけど、バレリーナを目指すとなると、本当に外国同様に選ばれた者だけの世界なんだなと思います。


トゥーランドットのセットがどこにあるのでしょうか?

先月10巻目が発売され、第1部終了となった山岸涼子の「テレプシコーラ」。衝撃の結末が波紋を呼んでいましたが、改めて考えると、もう最初の頃からこの結末に対する複線を丁寧に描いていたんだなあと気づきます。たまたま昨年来、中高生のいじめとか、自殺とかの事件が続いてしまったので、今時の流行(?)にのったように見えてしまいましたが、そうじゃなかったんですね。

改めて読み返したわけではないので、正確ではないかもしれませんが、この「テレプシコーラ」は、子供を主人公にしながら、それを取り巻く大人の世界を描いていて、最初からすごくひきつけられる作品でした。テレプシコーラとは舞踏の神。確かにその神に選ばれ、愛されたものでなければ舞台で輝くことは許されない。バレエは「頑張れば何でもできる」と言われて育った子どもたちにはすごく残酷な世界。努力という以前に決定してしまう世界なのです。

先ほどのT先生もよく「条件」という言葉を口にします。バレエがどんなに好きでも、とにかく身体的な条件が揃っていないと話にならない。体型(骨格)、首や手、脚が細く長いこと、足の甲など、バレエに向いている条件がはっきりあるのです。それに当てはまらないと最初から問題外。(うちの子もそう!)それと練習に耐える根気と根性。あけてもくれても単純な基礎練習ですから、根気がないと続かない。うちの子の友達でも、発表会などの踊りができるときは楽しいけど、普段のレッスンはつまらないといってやめてしまった子がいました。日本舞踊は最初から踊りを教えてくれるというので、そっちの方にいってしまいま� ��たが、何をやっても器用にできる子はかえって続かないのだそうです。それとある程度の親の経済力。外国のコンクールに出るとか、留学するとかで、お金もかなりかかりますよね。


拒食症映画の寿命

「テレプシコーラ」の主人公、六花(ゆき)は、元バレリーナでバレエ教師の母、公務員の父。環境はいい方です。でも、関節が開きにくいということで、バレエでは一番重要なアンドゥォール(外向き)ができにくく、身体条件としてはいまいち。性格も根性あるというタイプではなく、最初の方では一時バレエをやめてしまったこともあります。

その頃現れた転校生、空美(くみ)ちゃんは、もう身体能力、体型共に抜群の子。(シルビー・ギエムみたい!というのはこのマンガの台詞でした)伝説のプリマだった伯母の厳しい指導にも耐え、小学生ですでに高度なテクニックを身につけている。でも、容姿には恵まれていず、何より父は破産し、経済的には最悪。シューズもレオタードも買えない。それでも踊りたい気持ちは消せなくて、子供ながらに大胆な行動に‥‥私も読んでいて、涙ぐんじゃうくらいでした。

本部教室のひとみちゃんはとにかく踊ることが大好き。人一倍努力家です。でも太目の体型がいつもネックで、ダイエットのし過ぎで倒れてしまったり、リバウンドを繰り返したり、摂食障害になったり。とってもかわいそう。

それからすると六花の姉の千花ちゃんは、本当に神様から選ばれたような子だったのです。環境も、身体的な「条件」も、容姿も、強くてがんばりやの性格も、すべてに恵まれていたのです。バレエ団の先生からも、母親からもとても期待されていました。でも、初舞台での怪我から始まり、度重なる治療、そしてあの悲惨な結末。

「私、お医者になろうかな」「バレリーナにならなくちゃだめ?」という台詞は最後の悲痛な叫びだった。踊ることが大好きで、彼女自身も踊れないことは最も悲しいことなのに、それを通り越したところで出た言葉だったはずなのに、周囲の大人たちの期待という壁が、彼女の逃げ道を塞いでしまったのです。


すべての条件を与えられた姉だったのに、それも主人公の成長物語の中のひとつだったのかなと。感動はしたけど、複雑な心境でした。そんなに大きな代償を払って、これから六花はどう育っていくんだろうと、大変な物語になりそうで、ちょっと心配。最後の六花の振付作品も、え~中学生にこんなことができるの?という内容でしたよね。

同じバレエを扱った「昴」も、弟の死というところから出発していて、余りにも特異な主人公像になってしまい、「究極」の世界になりすぎて、もうこれ以上「究極」なものはできなくなって破綻した?ような感じなので。まあ山岸涼子先生ならそんなことはないと思っていますが。これからどういう世界が開けるのでしょう。とても楽しみです。

コンクールの話から発展してしまいましたが、本当にバレエって残酷なまでに生まれながらの「条件」が求められるものなんですね。もっとも、音楽でも美術でも、何でも、努力以上に才能は必要ですが、それが身体の条件、容姿というところまで求められてしまうところが、子供には過酷な世界だと思います。

よけいなことだけど、T先生もルジマトフのファンで、一昨年の夏ガラ、昨年のシェヘラザードなどに一緒に行きましたが、今度の「ルジマトフのすべて2007」も一緒に行くことになりました。T先生はいつもルジマトフの話になると「あの人は神様に選ばれた人だから」という言い方をします。そう、本当に選ばれた人だわ~。表現するために選ばれた身体と、天賦の才能と、それからストイックなまでの努力。40過ぎても衰えない、磨き上げられた肉体と、深化を続ける表現力。そういう存在にめぐり合えた幸せ。ファン冥利です~。う~ん、こんなに長くだらだら書いて、結局そういうところへ落ち着くんだなあ。バカというか、病気というか‥‥‥。



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