伸二のブログ: 医療関係
タミフル使用中止要望書について思うこと
タミフルに関しての最近の報道でタミフルによる死亡例を疫学的に検討した結果、タミフル服用と死亡例との間には関連性が極めて高いので、タミフルは危険であり、したがってその使用中止が要望されています。今回はタミフル服用と突然型死亡例との因果関連があるとのことです。そこには厚労省がPress Releaseした新型インフルエンザに罹患後死亡した全198人中、初回受診中までには、人工呼吸器を必要とするほどの状態悪化が認められなかった162人について解析されている。
しかし、重大な副作用を起こしたから、危険であり、したがって、その使用を中止せよ、というのは一理があるかも知れないが、何故ごく一部の患者のみに発生したのかとの解明がなされなければあまり意味がないのです。とくにタミフルの場合は世界的に膨大な量が使われているにも関わらず、なぜか異常行動とか今回取り上げられた突然死等はほとんどが日本だけなのです。
インフルエンザ治療というその対象群が流行時には膨大な数にも上るような医薬品の場合にはそのベネフィットとリスクとの対比が極めて重大であるにも係らず、ベネフィットは全くないように評価されているのは何故なのだろうか。タミフルは本当に全然有効性がないのだろうか。このタミフルのような場合にはなおさらリスク・ベネフィット比評価が必要なのではないだろうか。しかし、企業も学者も学会も誰もがこのような評価について研究することにはまったく関心を示していない。
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危険だから中止すべきという考えは極めて短絡的であり、今の時代では古典的でもあると考えるべきである。
確かに、行政がPress Release発表している新型インフルエンザ感染患者の死亡についての症例報告は極めて簡単な記述であり、とても個別因果関係評価するには不十分なデータばかりである。そこには時間的な情報は皆無に近い。ましてや、患者の基礎疾患についての情報は極め大事であるにもかかわらず、病名のみの記載だけである。
例えば182例目の症例データは以下のようになっている。
1月18日(月)発熟のため医療機関受診。インフルエンザ迅速診断、キツトA (ー) B (ー)
1月21日(木)熱が持続し呼吸苦増強したため、再度、医療機関受診。
インフルエンザ迅速診断キットA (+)反応弱。 肺炎が認められたため入院。
タミフル及びリレンザが処方される。
1月23日(土)熱40゜C以上持続。
1月28日(木)状態悪化にて、8時54分死亡を確認。
1月29日(金)衛生環境研究所でのPCR検査の結果、新型インフルエンザと確定。
この症例では発熱から四日目にタミフル、リレンザが投与された。タミフルの用法、用量は全く不明で、何回服用したのかもまったく不明、ましてや23日から 28日までのタミフルの用量も不明。しかも高熱と推定される状態が十日近くも継続と推定、その間に肺炎の診断。
これでは個別因果関係評価は不可能で、したがって疫学的な因果関連評価に依存するほかない。
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この症例で高熱がタミフルによるものと判断するには無理があり、また、肺炎が認められた時点でタミフルが投与されていたと推定されるので、肺炎もタミフルとは関係がない。従って、この症例での死亡にタミフルが関与しているとの疑いは極めて薄い。(それゆえに突然死?) この症例の死因は基礎疾患(慢性腎疾患、肥厚性硬膜円)の増悪によるものと報告されており、そして関連要因としてインフルエンザ肺炎が括弧書きで記入されている。果たして、この症例もタミフルに起因する突然死なのだろうか。突然死というのは素人的な解釈でも心疾患以外にもあるのだろうか。突然死イコル心臓疾患と考えると、タミフルには心毒性があるものと断定されなければならない。しかし、このような考えは間違いであり、どこにも「突然死� �とは記載がなく、「突然型死亡」と非常に巧妙な表現が明記されているからです。つまり、これらの症例は「突然死」ではないのです。「原因不明の予想外の死亡」であってどこにも突然死なんていう表現は使っていないのです。もっとも、この症例などを含めた英語の論文ではearly deterioation leading to deathとなっていて、どこにも sudden deathなんて書いてないのです。なかなかうまい表現を使っています。でも「原因不明の予想外の死亡」は突然死とは違うのでしょうか。
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しかし、結果的にはこのような症例もタミフル服用による死亡例とされている。つまり、たとえ、症例の詳細なデータがなくともこの症例がタミフルに起因する死亡例と断定する個別因果関係評価ではできないにもかかわらず、疫学調査の対象にされ、結果的にはこの死亡例もタミフルによるものと因果関連、いゃ、因果関係ありと評価されてしまっている。(causal relationと causal associationとではその持つ意味がかなり異なるのです)
このように、一部の患者にのみに異常行動とか死亡がなぜ発現したのか、そのメカニズムの解明が本来必要なのであるが、この点に関しては誰も関心を示さない。タミフルは体内での代謝が低くオセルタミビルの四分の一以上が代謝されずに体内を循環し、その結果毒性が発揮されるといわれている。医薬品そのものの毒性が直接関与する副作用の場合にはいろいろな条件下で通常の場合では起こりえない異常吸収、異常代謝、異常腸管循環、異常体内蓄積などいろいろな予想外のことが起こり、その結果一部の特定の人にのみそのような重大な副作用がおこると考えるのが常識である。従来の医薬品そのものが直接関与している薬害の場合(その典型例はスモン)にはこの特殊要因の解析なしに終わっているのが大部分である。したがっ� �、タミフルの場合もなぜ一部の人(そのほとんどが日本人)にのみそのような異常反応がおきたのかとの解明がなされず、ただ単なる現象論的に判断している状況は現在のようなハイテクの時代では極めて古典的な因果関連評価であり、将来的にはこのような状態、環境が今後もさらに続けばいずれまた薬害が起こるかも知れない。
まぁ、インフルエンザに罹って少しぐらい高熱が続いても安静にし、十分に水分を補給して寝ていれば数日すれば治りますとの説明は基本的には正しいので(事実、私はそのようにしています(o^-^o) )、くすりは飲まない方が安全ですよということは、一般論的には正しくとも果たして一般の人に素直に受け入れられるものでしょうか。でも、子供とか高齢者が高熱でぐったりしているときにもこのような対応を薦められるだろうか。もっとも、薬だけを見ていて患者を診ていなければこのようにも言えるかもしれませんが・・・・。
鈴木伸二
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